にのだん社会保険労務士事務所

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にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和5年10月号(No.47)

【①103万円、106万円、130万円の壁】

 最近、ニュースで「●●●万円の壁」が取り上げられていますが、様々な金額の壁があり、こんがらがっている方もいるかもしれません。

 ①103万円の壁とは、アルバイトやパートなど給与収入で働く人が、年収103万円を超えると所得税が発生する年収のボーダーラインで、1月~ 12月の年間収入を基に超えるか、それ以下かを判断するので、客観的で線引きの分かりやすい壁だと感じます。

 ②106万円の壁とは、社会保険に加入すべき従業員が101人以上の会社では週20時間以上や月8、8万円以上の短時間勤務の人も強制的に社会保険に加入しなければならないボーダーラインで、8、8万円には残業代や通勤手当、皆勤手当、家族手当などは含まれません。また対象者になるかどうかは契約内容だけでなく、勤務実態でも判断される場合があるため、状況により加入日が個々で異なる可能性も含め、事前に年金事務所に相談するべきグレー的な壁だと感じます。

 ③130万円の壁とは、健康保険の扶養に入れるかどうかのボーダーラインで、年間収入見込み130万円未満が条件となります。壁を越えているかどうかは、継続的な年間収入見込みが130万円以上と判断される日より扶養から外れる必要が発生する非常に線引きがグレーな壁だと感じます。その点からして解釈によって扶養が認められる日、扶養から外れる日が個別に、さらに医療保険の保険者によりズレや不公平感が発生するかもしれない曖昧な基準だと言わざるを得ません。

 一方では130万円未満の収入で医療保険も年金も扶養免除となり、もう一方では106万円で社会保険を自身で掛けないといけない制度 (社会保険適用拡大ルール)を導入した時、この問題は分かっていたはずなのに、今更慌てて特例や助成を検討する政府には呆れ果てます。

【②「ヒヤリハット」を経験しました】

 私は、毎週月曜日の夜、ランニング教室に通っていますが、先日「ヒヤリハット」を経験しました。練習するグラウンドの出入口が一か所で、入ると目の前に一周400メートルのラインが引かれたグラウンドになっています。練習のメインは小学生から中学生の子供達で、休憩に入る時、戻る時はその出入口を通るためにグラウンドに引かれたラインを横切ることがあります。

 横切る時に左右をしっかり見る子供達もいれば、全く見もせず横切る子供達もいます。それで、最近はコーチが子供達に注意してくれたり横切るところに横断歩道のようなラインを引いてくれたり、色んな工夫により、ぶつかる心配も無くなりそうだと私自身気を緩めた感がありました。それで先日、私がグラウンドを走っていると、ちょうど出入口のところを一人の女の子が左右を見ずに横切り、それも私に気付いて立ち止まったので、微かな接触がありましたが大事に至りませんでした。しかし当たり所によっては相手を跳ね飛ばし、お互いが大怪我する可能性もありました。今までは出入口付近スピードを抑えて走っていましたが、大丈夫だろうという気の緩みが私自身にあったのだと感じます。

 過去の職務経験の中で、私はヒヤリハットをたくさん体験してきました。お店での販売に従事している時や営業車で走行している時、事務作業をするオフィス内など何とか回避出来たものもあれば、苦い体験もありました。

 食品スーパーで勤務していた頃、店内で荷物を積んだカートを押している時、日頃から人とぶつかることがないよう安全配慮が必要にも関わらず、一瞬違うことを考えていた時に背の低い男の子に全く気付かずにカートで衝突してしまいました。これは私の完全なミスで、一緒に来ていたおじいちゃんに無茶苦茶怒られ平謝りでした。常に行動には「もしかしたら」を想定したリスク回避能力が求められることを失敗を機に思い知らされました。

 ニュースで取り上げられるような建設現場での災害事故や食品を扱う工場での大規模な食中毒など、日頃から作業に対するヒヤリハットの体験を朝礼やミーティングで情報共有されれば、未然に防ぐことが出来たかもしれません。心の中での「予知予測」「指さし確認」を心掛ける従業員が多いほど危機管理能力が高い組織であると感じます。

~最後までお読みいただきありがとうございました~